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-追憶6- 疫病と腐敗の森

-これは、まだパワースクロールもアーティファクトも無い時代の頃のダイの日記です。-

ブラックソーン軍が各地の襲撃を開始して数週間が過ぎた。
その間、冒険者達による局地的な抗戦でなんとか街を維持できているという状況だった。
ジュカや竜騎兵達に対して決め手となると思われたミーアの秘術は、逆に緑豊かだったユーを腐敗させ、疫病まで蔓延するという悲惨なモノとなってしまっていた。

もはや、打つ手無しかと思われたこの状況でミーアの観察人アドラナスは、打開策を見出した。



沼地に生息する「ボグシング」から採取された種を人の手によって精製したライト系の種、強力な治癒ポーションと解毒ポーション、そして腐敗の象徴と言うべきブレイグビーストロードの核を疫病に侵された木に投与することで森を清浄化しようというものだった。

皮肉なことに腐敗の術の失敗で出現した「ボグシング」や「ブレイグビースト」が、この腐敗から街を救う手段の一つとして活かされることとなったのだ。

ポーションは優れた錬金術師たちが大量に作成できるため、すぐにでも用意できるし、育成された植物から生み出されるライト系の種は、すでに多くの人々によって採取されていた。

だが、問題はブレイグビーストロードの核であった。



通常のプレイグビーストと違って、プレイグロードの戦闘力はそれほどでもない。
しかし、その核を得るためには生かしたままで、核を採取しなければならなかったのだ。
プレイグロードにパラライズの魔法をかけるとどういう作用なのかわからないが、完全に硬化してしまう。





硬化したプレイグロードは無力化するので、その間にナイフで表面を裂いて、中に収められた血管や肉を裂いて臓器を取り出し、それを適切な部位に移植して、神経を接合させる。
接合された神経は、核を包む中枢部を開く鍵となり、核を摘出することが可能となるのだ。



しかも、硬化したプレイグロードは急速に細胞が壊死していくために上記の複雑な作業を短時間でこなさなくてはならなかった。

幾度となく失敗しながら、なんとか手に入れた核を持ってユーに向かった。

疫病に侵された木の前には、すでに多くの冒険者たちが集まっていた。



時間になれば疫病の胞子を撒き散らすために木の根元が開く。
その際に必要な資材を投与してやれば清浄化させることが出きるのだ。

今か今かと待っていたその時、根元は開いて、その場に居た者たちが一斉に集めた資材を投げ込んだ。



緑に濁っていたコアが青く輝き、濁った空気が済んでいくのが感じられた。
病に冒されていた住民も癒されていく。

思わぬ展開に怯んだのか、ブリタニアに進撃してきていたブラックソーン軍が撤収を開始したとの情報が入った。

俺は、あわててミノックやユーと並んで、襲撃されていたパプアに飛んだ。



残った残党達を衛兵が仕留めていく。
あれだけの軍が襲ってきてたのが嘘のように、ブラックソーン軍は消滅していった。

騎乗用スワンプドラゴン、竜鱗の鎧、植物育成法等々・・・今回の一連の事件で、ブリタニアの民に残された利益もいくつかあったが、それ以上に各街が受けた被害は相当なものがあった。
この傷跡から立ち直るには、もうしばらく時間がかかるだろう。
それに、ブリタニアから撤退したとはいえブラックソーン軍が侵略を諦めたとも思えない。
イルシュナーで力を蓄えて、また良からぬことを企んでいるに違いないはずだ。

・・・今だユーの緑化は為されておらず、各地でブレイグビーストの目撃例も相次いでいるが、ブリタニアの各街を好き放題に蹂躙していたブラックソーン軍は、本拠地であるイルシュナーに撤退を余儀なくなれた。

-そして、このときには予想だにしなかったことだが、真の解放とも言うべきユーの緑化は数年の月日を経てエルフたちのブリタニアへの帰還により為されることとなる-

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